総務省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針
平成27年総務省告示第422号
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制定時の全文
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○総務省告示第四百二十二号
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)第十一条第一項の規定に基づき、総務省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針を次のように定め、平成二十八年四月一日から施行する。
平成二十七年十一月三十日
総務大臣山本早苗総務省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針第1趣旨1
障害者差別解消法の制定の経緯
我が国は、平成 1 9 年に障害者の権利に関する
条約(以下「権利条約」という。)に署名して以来障害者基本法(昭和 4 5 年法律第 8 4 号)の、改正を始めとする国内法の整備等を進めてきた
。障害を理由とする差別の解消の推進に関する
法律(平成 2 5 年法律第 6 5 号。以下「法」という
。)は、障害者基本法の差別の禁止の基本原則を具体化するものであり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害者差別の解消を推進することを目的として、平成 2 5 年に制定された。
2
法の基本的な考え方
⑴法の対象となる障害者は、障害者基本法第
2条第1号に規定する障害者、すなわち、「
身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を
含む。)その他の心身の機能の障害(以下「
障害」と総称する。)がある者であつて障、
害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」である。これは、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障害、
知的障害、精神障害(発達障害を含む。)
その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む。)のみに起因するものではなく、よ社会における様々な障壁と相対することにって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえている。したがって法、が対象とする障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限られない。なお、高次脳機能障害は精神障害に含まれる。
⑵
法は、日常生活及び社会生活全般に係る分野を広く対象としている。ただし、事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については障害者の雇用の法第 1 3 条により、、促進等に関する法律(昭和 3 5 年法律第 1 2 3 号)
の定めるところによることとされている。
⑶
法は、不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成 1 8 年法律第 9 1 号。いわゆるバリアフリ法ー)に基づく公共施設や交通機関におけるバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援
、視覚・聴覚障害者が利用しやすい通信・放送サービスの提供、ホームページの音声読み上げソフトへの対応などの情報アクセシビリティの向上等)については、個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための環境の整備とし
て実施に努めることとしている。新しい技術
開発が環境の整備に係る投資負担の軽減をも
たらすこともあることから、技術進歩の動向を踏まえた取組が期待される。また、環境の
整備には、ハード面のみならず、職員に対す
る研修等のソフト面の対応も含まれることが
重要である。
障害者差別の解消のための取組は、このよ
うな環境の整備を行うための施策と連携しな
がら進められることが重要である。
3
対応指針の位置付け
この指針(以下「対応指針」という。)は、法第 1 1 条第1項の規定に基づき、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成 2 7 年2月 2 4 日閣議決定。以下「基本方針法第8条に規定する事、」という。)に即して項に関し総務省が所管する分野における事業、者(以下「事業者」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めたものである。
4
留意点
対応指針で「望ましい」と記載している内容は
、
事業者がそれに従わない場合であっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する。
事業者における障害者差別解消に向けた取組は
、
対応指針を参考にして、各事業者により自主的に行われることが期待される。しかしながら、
、そ事業者による自主的な取組のみによってはの適切な履行が確保されず例えば事業、、者が法に反した取扱いを繰り返し、自主的な改善を期待することが困難である場合など、特に必要があると認められるときは、法第 1 2 条の規定により、事業者に対し、報告を求め、又は助言
、
指導若しくは勧告をすることができることとされている。
第2
障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方1
不当な差別的取扱い⑴
不当な差別的取扱いの基本的な考え方
事業者は、法第8条第1項の規定のとおり
、
その事業を行うに当たり、障害を理由とし
て障害者でない者と不当な差別的取扱いをす
ることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
ア法は、障害者に対して、正当な理由なく障害を理由として財・サビスや各種、、ー機会の提供を拒否する又は提供に当たって
場所・時間帯などを制限する、障害者でな
い者に対しては付さない条件を付けること
などにより、障害者の権利利益を侵害する
ことを禁止している。
なお、障害者の事実上の平等を促進し、
又は達成するために必要な特別の措置は、
不当な差別的取扱いではない。
イしたがって、障害者を障害者でない者と
比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改
善措置)
、法に規定された障害者に対する
合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱い、合理的配慮を提供等する
ために必要な範囲で、プライバシーに配慮
しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない
。不当な差別的取扱いとは、正当な理由な
く
、障害者を、問題となる事業について本
質的に関係する諸事情が同じ障害者でない
者より不利に扱うことである点に留意する
必要がある。
⑵
正当な理由の判断の視点
正当な理由に相当するのは、障害者に対して
、
障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、場その目的に照らしてやむを得ないと言える正当な理由、合である。事業者においてはに相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに障害者、、安全の確保事業者第三者の権利利益(例:、財産の保全事業の目的・内容、、・機能の維持、損害発生の防止等)の観点に鑑み
、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。事業者は、
正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。
⑶
不当な差別的取扱いの具体例
不当な差別的取扱いに当たり得る具体例等は別紙のとおりである。なお、⑵で示したとおり
、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、
別紙に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。
2合理的配慮⑴
合理的配慮の基本的な考え方
事業者は、法第8条第2項の規定のとおり、
その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)をするように努めなければならない。
ア
権利条約第2条において、「合理的配慮」は「障害者が他の者との平等を基礎と、して全ての人権及び基本的自由を享有し、
又は行使することを確保するための必要か
つ適当な変更及び調整であって、特定の場
合において必要とされるものであり、かつ
、も均衡を失した又は過度の負担を課さないの」と定義されている。
法は、権利条約における合理的配慮の定
義を踏まえ、事業者に対し、その事業を行
うに当たり、個々の場面において、障害者
から現に社会的障壁の除去を必要としてい
る旨の意思の表明があった場合において、
その実施に伴う負担が過重でないときは、
障害者の権利利益を侵害することとならな
いよう、社会的障壁の除去の実施について
、理合理的配慮を行うことを求めている。合的配慮は障害者が受ける制限は障害、、のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。
合理的配慮は、事業者の事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事業の目的・内容・機能の本質的な変更にイは及ばないことに留意する必要がある。合理的配慮は障害の特性や社会的障壁、の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり
、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、⑵に掲げる要素を考慮し
、
代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。
なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮とは別に、前述した環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。
ウ
意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談
、
実物の提示、身振りサイン等による合図
、
触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。
また、障害者からの意思表明のみでなく、)
知的障害や精神障害(発達障害を含む。等により本人の意思表明が困難な場合には
、
障害者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。
なお、意思の表明が困難な障害者が、家族
、
支援者・介助者、法定代理人等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には
、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。
エ
合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリ化ー、
介助者等の人的支援、情報アクセシビリ
ティの向上等の環境の整備を基礎として、
個々の障害者に対して、その状況に応じて
個別に実施される措置である。したがって
、
各場面における環境の整備の状況により
、ま合理的配慮の内容は異なることとなる。た障害の状態等が変化することもある、
ため、特に、障害者との関係性が長期にわ
たる場合等には、提供する合理的配慮につ
いて、適宜、見直しを行うことが重要であ
る。
オ
同種の事業が行政機関等と事業者の双方で行われる場合は、事業の類似性を踏まえ
つつ、事業主体の違いも考慮した上での対
応に努めることが望ましい。
⑵
過重な負担の基本的な考え方過重な負担については事業者において、、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく個、別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。事業者は、過重な負担に当たると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。
○
事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
○
実現可能性の程度(物理的・技術的制約
、
人的・体制上の制約)
○
費用・負担の程度
○
事務・事業規模
○
財務状況⑶
合理的配慮の具体例
合理的配慮の具体例は別紙のとおりである
。なお、⑴イで示したとおり、合理的配慮は
、
具体的場面や状況に応じて異なり、多様か
つ個別性の高いものであり、掲載した具体例については、⑵で示した過重な負担が存在し
ないことを前提としていること、事業者に強
制する性格のものではないこと、また、それ
らはあくまでも例示であり、記載されている
具体例に限られるものではないことに留意す
る必要がある。事業者においては、対応指針を踏まえ、具体的場面や状況に応じて柔軟に
対応することが期待される。
第3
事業者における相談体制の整備
事業者においては、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、相既存の相談窓口等の活用や窓口の開設により談窓口を整備することが重要である。また、ホ
ー
ムページ等を活用し、相談窓口等に関する情報を周知することや、相談時には、性別、年齢
、
状態等に配慮するとともに、対面のほか、電話
、ファックス、電子メールその他の障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を、可能な範囲で用意して対応することが望ましい。さらに、実際の相談事例については、相談者のプライバシーに配慮しつつ順次蓄積し、以後の合理的配慮の提供等に活用することが望ましい。
第4
事業者における研修・啓発
事業者は、障害者に対して適切に対応し、また
、
障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、研修等を通じて、
法の趣旨の普及を図るとともに、障害に関する理解の促進を図ることが望ましい。
第5
総務省所管事業分野に係る相談窓口
総務省情報流通行政局放送政策課【放送業に
係ること】
総務省情報流通行政局郵政行政部企画課【郵
便業(信書便事業を含む。)に係ること】
総務省総合通信基盤局電気通信事業部事業政
策課【通信業に係ること】
総務省大臣官房企画課【その他に係ること】
別紙
障害を理由とする不当な差別的取扱い合、
理的配慮等の具体例1不当な差別的取扱いに当たり得る具体例、障害を理由として 以下の取扱いを行うこと。
○
窓口対応を拒否又は対応の順序を後回しにすること。
○
資料の送付、パンフレットの提供、説明会やシンポジウム等への出席等を拒むこと。
○
客観的に見て、人的体制、設備体制が整っており、対応可能であるにもかかわらず、来訪の際に付き添い者の同行を求め、又は他の利用者と異なる手順を課すなど、正当な理由のない条件を付すこと。
2不当な差別的取扱いに当たらない具体例
○で合理的配慮を提供等するために必要な範囲プライバシに配慮しつつ障害者に障、ー、害の状況等を確認すること。
3合理的配慮に当たり得る配慮の具体例⑴
物理的環境への配慮の具体例
○
障害者用の駐車場について、障害者でない者が利用することのないよう注意を促すこと。
○
事業者が管理する施設・敷地内において、車椅子・歩行器利用者のためにキャスタ上ーげ等の補助をし、又は段差に携帯スロープを渡すこと。
○
目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、左右・前後・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりすること。
○
移動に困難のある障害者の職場事務室内の導線を確保するために、通路の拡幅やレイアウト変更を行うこと。
○
配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡すこと。パンフレット等の位置を分かりやすく伝えること。
○
事業者が管理する施設・敷地内において、聴覚過敏の障害者のために机・椅子の脚に緩衝材を付けて雑音を軽減する、視覚情報の処理が苦手な障害者のために掲示物等の情報量を減らすなど、障害者の障害の特性に応じて、
個別の事案ごとに対応すること。
〇
疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった際、別室の確保が困難である場合に、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くの長椅子等に臨時の休憩スペースを設けること。
⑵○意思疎通の配慮の具体例筆談要約筆記読み上げ、、、手話、点字など多様なコミュニケーション、分かりやすい表現を使って説明する、個々の障害の特性に応じた問合せ先を用意するなどの意思疎通の配慮を行うこと。
○
情報保障の観点から、見えにくさに応じた情報の提供(聞くことで内容が理解できる説明・資料、拡大コピー、拡大文字又は点字を用いた資料、遠くのものや動きの速いものなど触ることができないものを確認できる模型や写真等の提供等)
、聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供、見えにくさと聞こえにくさの両方がある場合に応じた情報の提供(手のひらに文字を書いて伝える等)
、知的障害その他の障害を持つ障害者に配慮した情報の提供(伝える内容の要点を筆記する、漢字にルビを振る、なじみのない外来語は避ける等)を行うこと。その際、各媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用すること。
○
障害者と話す際は、相手の正面を向いて口の動きが分かるように話すこと。
○
比喩表現等の理解が困難な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに具体的に説明すること。
○
意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認すること。
○
ホ
ームページを音声読み上げソフトに対応させるなど、通信・放送技術を活用し、視覚・聴覚障害者が利用しやすいものとすること。
⑶
ル
ール・慣行の柔軟な変更の具体例
○障害者が立って列に並んで順番を待っている場合に周囲の理解を得た上で当該障害、、者の順番が来るまで椅子などを用意すること。
○
スクリーン、手話通訳者等、板書、教材等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を用意する、周囲の騒音が入りにくい環境を用意する等の措置を行うこと。
○
他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある場合、緊張等を緩和するため、当該障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備すること。
○
事務手続の際に、職員等が必要書類の代読・代筆を行うこと。